三車秘旨(28)第三の河車
三車秘旨(28)第三の河車
(本文)
少しすると口の中に美液が落ちてくる。その大きさは雀の卵のようであり、ブドウのようでもある。これは麝香ではないし、蜜でもないが、異様に甘く香りが立っている。こうした境地が、つまり九還金液の大薬を得たことにる。修行者は金液を服して、その後にこれをして「鉛を汞に投じる(鉛投汞)」「金を木に并せる(金并木)」「後天を先天に返す(後天返先天)」「嬰児がタク女に合う(嬰児合タク女)」「嬰タクが相い逢う(嬰タク相逢)」という段階に入る。そして朝な夕なにそれを涵養する。久しく行って臓腑の状態をよく観察していると、内外は光り輝き、その中に「一真」のあるのが分かる。それはそっくりそのまま自分に似ている。これが「嬰タク複(ま)た嬰児を生む(嬰タク複生嬰児)」で、この「嬰児」は必ず虚心坦懐に調養しなければならない。途切れることなくこれを温存して、霊谷(関元)から天谷(泥丸)へと移す。その後に出神入化をして、飛翔して仙人たちと出会うことになる。
(解説)
ここでは「陽神」の生まれることが述べられている。「陽神」とは小さな「自分」のことでそれは「自分」の真の姿であるとされる。錬金術のホムンクルスと同じようなものである。ただホムンクルスは実験器具の中で作られるようであるが、「陽神」は人体において見いだされる。言われるところによればそれを泥丸から出して始めは近くを歩かせ、次第に遠くに行かせるようにする、とされる。「出神入架」というのが体外に「陽神」を出させることで、これが充分に育つと「飛翔して仙人たちと出会う」ことも可能となるとする。ここでは「大薬」の神秘体験、「陽神」の神秘体験のあることが述べられている。これらは体験しなければならないというものではない。こうしたこともあるくらいに認識しておけば良い。
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