三車秘旨(43)収心法を問う

 三車秘旨(43)収心法を問う

(本文)

門人が質問した。

「陸潜虚仙師は『交わりはつまり太上(老子)が深く秘されたものである』と言われていますが、何を秘されているのか教えてください」

涵虚が答える。

「交わりとは『至陰の本』であるり『杳冥の根』のことである。もしよく杳冥に入ることができたならば、よく交わりを得ることができるであろう。私は先に『虚空の中での団煉』を勧める。静にして静(であり深い静を得て)、定にして定(であり深い静坐の境地を得れば)、人無く我も無い(境地が得られる)。無であるが、無にこだわることも無く、自然に杳を得ている。交わらずして自ずから交わっているのであり、ここに至陰の中に至陽が生まれる。

(解説)

陸潜虚は東派の人物であり、東派では隔体神交を説くことで知られている。また隔体神交はここでも先に出ていた。質問はまさにこれを問うものとすることができるであろう。要するに隔体神交の目的とするところは「杳冥」つまり「玄」を得ることであり、冒頭では性的な交わりのことを考えないでただ静坐をしていれば良いと教えている。実は隔体神交とは直接には関係のないところで天機を感じることをいう。なんとなく坐って休んでいた時、斜め前の人物がひどく気になるとか、テレビや絵画で見た器なり、山なりにひどく惹かれるといったところでは「神」の交わりが生じているとする。そうした時に、なぜそのような気持ちになるのかをよく考えることで自分の「性(本来の心のあり方)」を知ることができるとされている。またこれが「窮理」でもある。


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