三車秘旨(50)道情詩詞

 三車秘旨(50)道情詩詞

(本文)

「道情詩」

俗人の道は人々の好むもの

我の道は人、心鎮まらずして了(さと)ることなし

我が道にて富貴は心に係ることもない

また朝に夕に’(天界の)仙島へと登るを想う

我が家に虚を涵(いれ)る道人(涵虚=自分)とはかくの如くし

世に出れば非凡を求めて、生き方を誤る 

小さき頃より書を読み

長ずれば煩悩に塗れたるこの身

文名を上ぐるを想う

しかしまた仙界へと飛び立たんと想も

でき得べきこともなし

想うにこの世には決まり(道)のあるもの

幸いにも破れ屋がここに一軒

修行の友が三人

そぞろに過ごして

俗塵の外に超える

喜び笑いて

迷いの世界の外に遊ぶ

秋が終わり冬が始まる

山の中には何事もなく

ただ一壺の菊花酒を煮るのみ

早咲きの梅を楽しみ

ここに吟ぜずとも良い道の詩を吟ずる

(解説)

以下「付録」として詩篇が綴られている。最初の「道情詩」は自己の半生を省みたものといえよう。一方で社会的な名声を得ることを望み、一方では隠逸への憧れがあったが、結局のところは隠逸の世界に遊ぶ道を選んだということである。


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