道竅談 李涵虚(273)第三十二章 心身について~調息法も含む~(本文 上)
道竅談 李涵虚(273)第三十二章 心身について~調息法も含む~(本文 上) 心は一身の主人である。神は三品(精、気、神)の上薬である。ただし、心と神は二つであるが一つのものであって、分けることはできない。老子は「人にあって神が清らかであろうとれば心が邪魔をする。人にあって心が静かであろとすれば欲がそれを妨げる。そうであるから常に欲にかかわらないようにすれば、心は自ずから静かになる。心が澄めば神は自ずから清らかとなる」と教えている。陸潜虚は「調息の法は調心から始める。凝神の法は調息から始める。これは仙仏となる手引きであり、個々人が徳に入る路である」と教えている。 道を学ぶ初めは必ず雑念を鎮めて静に帰さなければならない。行住坐臥、常に身の内に静を守ってよく努めることである。およそ念があれば妄心が働く。念が無ければ真心が開く。もしよく常日頃、念を鎮めていれば、念はその止まるべきところに還る。そうなればどのような時でも心は安定して、入定の基本が乱れることはない。聖人が「心を止めること(止)を得た後に心の安定を得ること(定)ができる。心の安定を得ることができればよく静を得ること(静)ができる」と教えているのはこのことである。